アネシス茶屋ヶ坂
2020年

所在地 :愛知県名古屋市
建築設計:清水建設
構造設計:清水建設
施工:清水建設
写真提供:清水建設

【寸評】
社宅の建て替え計画。公営住宅など4、5階建ての集合住宅はこれまでRC造では最も普通に建てられてきた建物のひとつである。現在、この規模の集合住宅でも木造で実現できるようになったが、RC造がメインで木造未経験の建築関係者にはまだまだハードルが高い。この建物では、すべてを木造ということではなく、RC造と木造の特性を活かしたハイブリッド建築として実現している。RC造の耐震壁に挟まれる形で耐火木造の柱梁フレームとCLT耐震壁による構造形式は、構造計画としてわかりやすいだけでなく、居住空間に木材を多用することができる。また、木質柱梁フレームで課題の大きいパネルゾーンにもコンクリートを用いることで構造システムを明快にしている。木材の意匠性や構造特性を活かしやすく、木材を使用しやすい部位にのみ積極的に木材を用いる割り切りを高く評価したい。今後、RC造に慣れた地方の中小ゼネコンが都市木造に参入する際の参考にすべき好例のため、要素技術のオープン化も期待したい。
(腰原 幹雄/NPO法人 team Timberize 理事)