HELIX
2010年

HELIX
- 現代の曲げ木技術を応用した二重螺旋構造 -

素材の分解と再構成
山林で伐採された「円柱形」の木材は、帯鋸や丸鋸などで切断され「直方体」に形を整え、建築の柱や梁として利用されます。また、ロータリーレースという機械で原木を回転させながら、大根の桂剥きの要領で「薄いペラペラの紙」のような板を削り出し、それらを重ね合わせ接着することで、構造用合板やLVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)と呼ばれる建築部材として活用する方法もあります。ここでは、この「薄いペラペラの紙」のような板を、少し丸めて同じ方向に重ね合わせて作られる「円筒形」や「螺旋形」の部材(曲面LVL)について考えます。
Helix(ヘリックス)は、螺旋形の曲面LVLによって生み出される、直径21m、高さ30m、円筒形、6階建ての建築です。内と外で逆向きの螺旋状に成型した木をかごのように組み、その交点で各階の床を支える「チューブ構造」になっています。外周部では、木材の繊維方向と「螺旋」の方向と一致しているため、建築構造の「力の流れ」を感じることが出来ます。
このように「木」という素材の「分解」と「再構成」の方法を探求することは、新たな<都市木造>の可能性を広げるでしょう。

設計 / 樫本 恒平、佐藤 孝浩(team Timberize)