SOLID
2010年

SOLID
- 単板積層材大型ブロックの組積と掘削による木塊 -

巨大な木のかたまりが表参道に出現する
木造建築に使う「木」といって思い浮かぶのは、柱や梁のような「製材」、床や壁に使われる「板材」、あるいは「丸太」などでしょう。
では、木の「かたまり」はどうでしょう?そもそも、木の「かたまり」を見たことはありますか?巨大な木のかたまりが、街に突然現われたら…。"Solid"は、「木塊=木のかたまり」を使って、商業施設のためのオブジェのような建築を作ろう、というプロジェクトです。
近年、大断面集成材の技術が進歩しており、単板積層集成材(LVL)では2m角もの大きな木のブロックの製作が可能です。これを積み上げれば、巨大な木塊が出来上がります。木は柔らかいので、自由に削って形を作り出すことができます。穴を空ければ好きな大きさ・形の開口部ができます。まるで彫刻のように、削り出し穿つことで建築空間を作ることができるのです。
こうしてできた「木塊」は、圧倒的なボリューム感で立ち上がります。しかし、コンクリートや金属のハードさとは違う、木の持つ優しくて柔らかな感触が、表参道にふさわしい、けれどもこれまでにない新たな景観をもたらしてくれます。
「木塊」表面は、耐候性のためにガラスのカーテンウォールで覆われます。そこは街の縁側のような空間で、人々は目的のお店を探しながらそぞろ歩きます。
分厚い「木塊」を通り抜けて中に入ると、そこはうねるような形の木に包まれた、木の洞窟のような空間が広がっています。「木塊」に穿たれた大小さまざまな開口から差す幻想的な光が空間を満たします。
木塊を少し深く削ると、お店のディスプレイや、休憩のための椅子といった家具を作り出すこともできます。これも木ならではの特徴です。

設計 / 久原 裕、腰原 幹雄(team Timberize)