LATTICE
2010年

LATTICE
- 立体的に組まれたランダム格子構造を中心とした空間 -

格子の森・・・・・ラピュタ・モデル
宮崎駿監督「天空の城ラピュタ」のラストシーン、天空に浮かぶ島「ラピュタ」の崩壊の様子は象徴的だ。飛行石と呼ばれる、いわば”重力無力化石”が天空に浮かぶ城から離れていってしまうと、それの力を借りて張り付くように建造されていた城は、もろくも瓦解していく。だがしかし、城の中心を貫き、数世紀もの間で成長した巨大な樹木はその張り巡らされた枝と蔓によって、独自の構造を持ち、崩れ去ることなく、飛行石と共に宇宙へと飛び去ってしまう。
ここに現れる樹木は柔らかくも堅牢なひとつの生命体である。そして、独立した構造体である。本プロジェクトの立体格子のアイデアを発想し、練り上げていく過程で、この立体格子の森が、それらの象徴たる「巨大な樹木」に重なった。


水平の力に耐える木の立体格子
ラピュタのように重力という力からは逃れようもない。建築の問題で考えると地震の多い国である日本では特に、重力だけでなく地震力と風力による建物への水平の力がとても大きい。その水平応力に、柔らかくも堅牢に抵抗する、ひとつの生命体のような物体が建物の中心にあり、建物全体への水平応力を負担してくれると、そこに張り付くように重力だけに耐えうる建物が寄り添うことができる。
具体的には、木の立体格子がその中心(コアゾーン)を形成する。その場所は建物の構造の中心である、内部深い場所に光と風を送り込む環境空間である。テラスや光庭には緑が取り込まれ、そこで働く人々や訪れた人々の憩いの場所になる。一方、寄り添う建物は柱だけが配置されるためユニバーサルな機能性が実現される。

設計 / 八木 敦司、加藤 征寛(team Timberize)