Port Plus 大林組横浜研修所
2022年

所在地 :神奈川県横浜市中区
設計監理:株式会社大林組一級建築士事務所
施工  :株式会社大林組
撮影カメラマン: ㈱エスエス 走出 直道

【寸評】 
GIR接合と相性のよいLVLを用いたフレーム構造の高層木造建築において、耐火被覆された構造材のLVL、積層面の意匠性を活かした内装のLVLとLVLの特徴を生かしながら素材が適材適所に用いられている。最近、多くのプロジェクトが高層木造建築における経済性の面から混構造を選択する中、PORT PLUSは、あえて純木造でどこまで可能なのかを追求し、現在の純木造による高層木造建築の到達点を提示している。計画段階では、従来の木造建築と比較してあまりに巨大な柱梁の断面、ふんだんに使用される木の仕上げ材と一部では懐疑的な意見もみられたが、竣工後に実際の空間を目の当たりにした人々の感想からは大断面部材に対する印象、木質空間の印象に対する意見が変わったように思える。やはり、木造建築の良さは図面やCGだけでは十分に伝えることが難しく実体験の中で感じられていくのであろう。まだまだ、見慣れない高層木造建築においては、こうした挑戦的な建物の登場が鉄筋コンクリート造や鉄骨造とは異なる木造の魅力を活かした都市木造を考えるうえでは重要であり、PORT PLUSの果たした役割は大きい。今後も、木造空間の魅力や経年変化について継続的な情報発信を期待したい。
(腰原幹雄 / NPO法人 team Timberize 理事)