OUCHI
2019年

所在地:東京都足立区
建築設計:坂東幸輔建築設計事務所
構造設計:NAWAKENJI-M
施工:加藤組
写真:ToLoLo studio

【寸評】

柱は450mm角、梁は250mm×750mmの集成材を採用した木質2方向ラーメンを都市施設で実現させた作品である。基本スパン4m×5mはコンクリート造の経済的スパンよりもひとまわり小さいものの、2.5mのキャンチレバー軒下が実現されていることも含め、この規模の都市施設をプランニングする上で適切なスパン計画といえる。
構造部材の周囲35mmは燃えしろであり、接合部にはホームコネクターを使用することでシームレスな木の塊としての構造体が実現されており、コンクリート躯体のような力強さを感じながらも落ち着いた空間が広がっている。
燃えしろ設計された躯体は仕上げとしても利用できることから、躯体全てを露出させようとする傾向もあるが、ここでは、木質系仕上げも含めて場所ごとに無理なく仕上げが施されているところがとても良い。都市施設で使われる構造方式として大きな割合を占めるコンクリート造や鉄骨造と同じ感覚で木質構造が扱えるようになってきたことの好例であり、今後、このようなかたちで木材が定量的に使用されていくことで、都市における日常の風景として定着していくのだろう。
(大石雅之 / NPO法人 teamTimberize 会員)