黒岩中央保育所

昭和28年創立の町立保育所の新園舎である。敷地は川沿いの低地から山へ登っていく道の途中にあり、南に眺望がひらけている。そこで、造成を最小限にとどめ敷地の高低差を活かし、山側の民家の眺望も損なうことなく十分な気積を確保し、皆で見晴らしを楽しめる場を作りたいと考えた。
縁側―保育室―共有スペースと、構造材の見せ方や仕上材、色、光の入れ方をレイヤー状に変化させて、奥へ行くほど明るく、子どもの心を浮き立たせるような構成とし、子どもたちがその中で様々な空間や視点を発見し遊びを生み出すような園舎を目指した。町産材利用を検討する中で、新園舎から見える山の木で縁側の柱を作ることとなり、子どもたちも枝払いや、やすり掛けを体験した。子どもにとって、環境・体験・他者との出会いの全てが成長の糧であり、園舎の建設過程もその一つにしていこう、という地域の皆の思いから実現した丸太柱が、新しい保育所の顔となっている。

建築データ

名称  黒岩中央保育所
所在地 高知県高岡郡佐川町黒原2242-1
用途  保育所
発注者 佐川町長 堀見和道
設計者 意匠 内海彩(内海彩建築設計事務所)
    構造 佐藤孝浩(桜設計集団)
    設備 長谷川博(長谷川設備計画)
    照明 稲葉裕(フォーライツ)
施工者 響建設

規模
構造・階数木造平屋建て
敷地面積 2251.36㎡
建築面積 560.60㎡
延床面積 保育棟 498.93㎡、倉庫9.93㎡、多目的トイレ4.24㎡、 遊具倉庫7.45㎡、
軒高   4.63m
最高高さ 4.917m