PETAL
2010年

PETAL
- 五角形グリッドに展開する小断面重ね透かし梁ユニット -

「木」という素材の特徴から考える
『都市木造』にふさわしい”新鮮な、かつ、木造ならでは”の魅力をどのように作り出していくか、この案では「木」という素材の<繊維の束のようなものであること><性能のばらつきを補う必要があること>の2つの特徴に着目しました。実用面では”欠点”や”扱いにくさ”に繋がる性質といえるかもしれません。が、そこにこそ「木」の魅力の素があるはずです。

繊維の<しなやかさ>を感じさせる
柱や梁が一つの交点に向かって直線的に伸びて接合する、コンクリート(RC)や鉄骨同様の基本的なモデルの他にも、「木」という材料に合う接合の方法もありうるのではないかと考えます。例えば、木の梁が木の柱に巻きつくような接合部のデザインは、植物としての「木」のしなやかさが視覚化し特徴的なものとなるのではないでしょうか。

小さい断面の部材をたくさん使う
RCや鉄骨の、無駄の無い緊張感を持った構造美に対し、木の構造の美しさは、計算に基づきつつも個々の性能のばらつきを補うべく<ちょっと太め・多め>な中に見出したいと考え、ここでは小さい断面の部材をたくさん使う方法について検討しました。<ランダムではなく規則的><シンプルなのに単調に見えない>架構パターンとして、五角形グリッドに展開する2列3段の重ね透かし梁を提案しています。

Petal
一種類の等辺五角形による平面充填パターンをベースに、五角形柱と5方向に広がる梁からなるユニットが、連結し積み重なって建物になります。緩い弧を描く湾曲集成材の梁が花びら(Petal)のようにやさしく空間を覆う木造建築の提案です。

設計 / 内海 彩、加藤 征寛(team Timberize)