30
2010年

30
- 燃えしろ被覆型耐火構造部材による木造ラーメン30m級 -

燃えしろ被覆型
「30」は、高さ30m級の高層木造建築のスタンダードとなるべく設計したプロジェクトです。
木造建築の魅力を最大限に引き出すために、柱、梁、床スラブ、耐力壁のすべてを構造木材があらわしになるように設計しています。
その際に採用されるのが「燃えしろ被覆型」耐火部材です。耐火建築の主要構造部に必要な耐火性能をプラスターボードなどを使った「一般被覆型」ではなく、木材で燃えしろ層と燃え止まり層を構成する「燃えしろ被覆型」で耐火性能を確保しています。また、空調や照明器具などの設備は天井に吊るすのではなく床から立ち上げて、天井の床スラブを見せています。
これにより、構造部材としての木材をそのまま内装材として採用することが可能になります


一方向ラーメン構造
「30」では、6mスパンで柱を建てています。6mスパンは、オフィス空間のような比較的広いスペースを確保するという機能性だけでなく、木造ラーメン構造としても効率的なスパンです。
X方向はラーメン構造、Y方向は耐力壁で水平力を受ける耐力壁付きラーメン構造という組合せの「一方向ラーメン構造」を採用しています。木造ラーメン構造の場合、柱と梁の接合部の燃え止まり層の納まりから、接合部に異方性が生じるため、X軸とY軸で構造形式をかえた方が合理的な設計になります。なお、柱や梁などの燃えしろ層は耐火被覆としてだけでなく、構造部材としても利用して無駄の少ない設計をしています。
「30」の「一方向ラーメン構造」は、高層木造建築において、現時点で最も合理的な構法及び構造形式の一つと言えるでしょう。

設計 / 山田 敏博、腰原 幹雄(team Timberize)